介護療養型医療施設の特徴
介護療養型医療施設とは、通称「療養病床」と言われる介護サービスと医療の両方を同時に行うことができる施設のことです。
なおこの療養病床は2017年度末に廃止が決定されており、2014年3月末までの移行期間までに新たな受け入れ施設を作っていくことが検討されています。
要介護状態になっている人のほとんどは何らかの疾患を発症していますが、中でも糖尿病のためのインスリン注射や痰の吸引など、慢性的に治療や看護が必要な人のために、介護施設の内部で医療もできるようにしたのが療養病床です。
看護や治療が必要であるなら入院という方法もありますが、通常の病院施設では病床が不足している場所が多く見られます。
また、通常の入院患者と介護が必要な患者とでは必要なケアが異なるため、より専門的な施設として療養病床が誕生しました。
介護療養型医療施設には「介護療養病床」と「医療療養病床」との二種類に分けることができます。
「介護療養病床」は介護保険が適用される公的施設として、「医療療養病床」は医療保険が適用されるというところに大きな区別があります。
なぜ介護療養型医療施設が廃止の流れになってしまったのでしょうか。
その理由は、介護保険制度と医療保険制度が明確に適用範囲として区別がされていなかったことにより、制度的なねじれが発生してしまっていたためです。
このあたりはかなり複雑な問題になるのですが、ごくごく簡単にまとめてしまえば、介護療養型医療施設では、本来別制度であるはずの介護保険制度と医療保険制度が同時に適用されます。
しかし、そのどちらが適用されるかが明確になっておらず、運用面に不都合が多く発生するようになったのです。
現在運用されている介護療養病床は約5.9万床、医療療養病床は約21.6万床のうち看護師の配置基準の適用がある約7.2万床ですが、これらは全て廃止される予定です。
利用するメリット
制度的なねじれや問題はあるものの、介護療養型医療施設の設置は非常に画期的なものです。
厚生労働省が代替施設として準備をしたのが「介護医療院」という施設で、こちらは日常的な医学管理とともに看取り・ターミナルケアを行うことができるとしています。
従来までの介護療養型医療施設での「介護」「医療」2つの役割に加え、新施設では「生活施設」としての役割を含めることが決まりました。
入所対象となるのは長期療養のための医療や日常生活のための世話(介護)が必要な人で、地方公共団体のほか、医療法人や社会福祉法人によって運営されることになります。
現在はサービスの移行期間となっていることから、今後どのように制度が運用されていくかは不明確ですが、在宅介護ではケアできない高齢者の受け皿となることが期待されています。