高齢者の睡眠に対する悩みとは
認知症を発症した家族がいる時、非常に大きな悩みとなるのが夜間の徘徊です。
認知症となってしまった高齢者の多く見られる症状として「夜間せん妄」というものがあります。
「夜間せん妄」というのは、意識が混濁して興奮をしてしまい動き回るという動作が、夜間になってから起こることです。
昼間のうちはそうした行動はほとんど見られないのに、夜になった途端に急に何かよくわからないことを言い出したり、外出したがったりするということがよくあります。
実はそうした夜間せん妄には起こりやすいパターンがあり、急激に住環境が変化をした時や最近強い不快感があった時、他には病院に入院をしているときの手術直後に多く見られています。
認知症になってしまうと何がなんだかわからなくなってしまっていると周囲からは見えますが、実は周囲からのストレスや不快な刺激についてはかなり敏感です。
それが積もって、夜間せん妄のような行動となって現れるのでしょう。
認知症との関係
認知症に関係なく、高齢になるとだんだん寝付きが悪くなってきたり、眠りが浅くちょっとした物音や光で起きてしまうということもあります。
こうした「中途覚醒」は本人にとっても不快なものですが、自力で直すのは難しく、そこからだんだん昼夜逆転した生活リズムになっていってしまう場合があるのです。
認知症との関係で言えば、認知症の原因の一つ「レビー小体型認知症」では幻覚が夜間に現れやすいという特徴があるので、ますます夜間に徘徊や問題行動をする割合が多くなってしまいます。
認知症となってしまった高齢者は認知機能が極度に落ちてしまうので、夜目が覚めたときに自分のいる場所がどこかわからなくなり、その不安感から周囲を徘徊してしまうというケースもあるようです。
そうしたときに家族や介護者が叱責をしたり、行動を無理やり辞めさせようとしてしまうことでますます本人の不安感が強くなってしまいますので、症状が日に日に悪化してしまうこともあります。
対策
認知症となった患者さんが夜間に目が冴えるという場合、まず最初に取るべき対策として「投薬」があります。
既にいくつかの薬品を処方されていることとは思いますが、まずは担当医にどういった症状が出ているかを相談し、薬の内容を変更してもらうようにしましょう。
睡眠剤や精神安定剤などに含まれている「抗コリン剤」を長期的に服用することによりせん妄症状が強くなるという研究もあるので、場合によりそれらの処方を一時とめるということも考えていきます。
また、夜起きてしまうということは昼間の活動が足りないということもありますので、日中に積極的に屋外に連れ出すということも対策になります。
夜起きている人は昼間うつらうつらとしてしまいますので、できるだけ昼夜のメリハリをつけた生活にしていきましょう。