高齢者の好む食事
自宅でこれから家族を介護することになった人たちから、多く質問されることの一つに「食事介助」があります。
高齢になってくると、自然とあっさりした食事の内容を好むようになってくるものです。
若い頃に大好きだったはずの脂っこい肉類やこってり系の揚げ物を食べると胃もたれをするようになるものですが、特に介護が必要になるような高齢者はその傾向が顕著になります。
それと認知症が発症すると食の好みが大きく変化をすることもあります。
「前はこうだった」ということにあまりこだわらず、今高齢者がどんなものを好んでいるかきちんと判断していくことが大切です。
しかしあっさり系の食事が好みと言って、毎日のようにさらさらと食べられるおかゆやお茶漬けだけで済ませていてしまっては栄養が偏り、つらい便秘症状を引き起こすことにもなってしまうでしょう。
高齢者にとって食べやすい形に食品を加工し、できるだけ三食きちんと主食・主菜・副菜に汁物といったバランスをつけるようにしてあげてください。
一見食べにくそうな食材も、きちんと加工をすることでおいしく食べられるようになるので、高齢者向けレシピとしてマスターすることがおすすめになります。
どうしても食材一つ一つに手間をかけることができないという場合は、便利な市販食品を使ったり、高齢者向けのお弁当デリバリーを利用するということも一つの方法です。
実際の食事介助方法
食事がそろったら、実際に食べるときの介助をしていきます。
食事は毎日の生活の楽しみになる重要な日常活動なので、できるだけストレスを与えないように食べさせてあげるということが重要です。
高齢になってくると歯がなくなってしまったり、飲み込む機能が落ちてしまうといったことが起こりますが、それでもギリギリまで口からものを食べるということにこだわりましょう。
食事介助の流れとしては、まず食卓に座らせ、目の前に料理を並べます。
自力で体を起こすのが難しい人はリクライニングベッドで食事をすることと思いますが、この時体が反り返った状態になっていると、うまくものを飲み込むことができません。
できるだけ体を90度に立てるようにし、介助者は体を支えてあげるようにしましょう。
食器も本人が使いやすい取っ手がついたスプーンやフォークなどがありますので、指が動かないという人も持たせてあげるようにしてください。
食事介助をうまくすすめていくためのコツ
食事介助をしていくときに意外に見落としがちなのが、周囲の環境づくりです。
コツとしては「食事の前にトイレに行っておく」「テレビがついているなど、ながら食いにならないようにする」ということが挙げられます。
食事介助をする人は、ものを口に運ぶときに声掛けをするなど、コミュニケーションを重視しましょう。